chapter 15~ chapter 15 “私の価値” ~ 夫婦喧嘩の方向はすでに離婚についても話し合う様になっていた。 すぐに離婚すると言い出す母に、父は考え直すようにと何度も説得し 説得の末 母が半狂乱になる、の繰り返しだった。 もう溝は埋まらない。離婚するしかなさそうだった。 別れるとなると必ず出てくるのは『子供のことはどうするか』という事。 姉と兄はもう社会人になっていたからどうにかなるとしても 私はまだ高校生で学費もかかる。 「学費や今後の養育費はどうするか」とか 「結婚でもする時に片親になるのがどう影響するか」とか 喧嘩の中に必ず私の事が出てくる。 親として子供の将来を考えるのは当然の事だったのかもしれないし、 親としての愛情があるからゆえだったのかもしれないが 私にはそれがとても重荷だった。 自分が居なければこんなにいつまでももめる事はないんじゃないかと思った。 “どうして私はまだ高校生なんだろう” 自分が子供なのが許せなかった。 親の力がないと生活出来ないでいる事が罪に思えた。 早く大人になりたかった。1人で生きる強さが欲しかった。 そうでないなら今すぐ消えたかった。 生きていてもお金がかかる、死んでも葬式代がかかるだろう。 私は自分を抹消したかった。 泡のように消えてしまえればいいのに、と思った。 “なかったことにして。私の存在の全部を。” 生きているのがしんどかった。 私はなんで生きていなければいけないんだろう。 生きていたからって私は何の役にたつんだろう。 “生きていてごめんなさい。お金がかかってごめんなさい。 でも、どうする事も出来ません。誰か私を消してしまって!!” 父と親戚の再三の説得を振り切って母はまた出て行った。 ◆chapter 15について(日記) へ ◆chapter 16 へ |